45歩目:【古民家宿泊 離れ にのうみ】〇〇部長、「にのうみ」に響く(〇〇に入るものは?)
むかしむかし、亀岡盆地には丹の波(にのうみ)が立ち、ひとびとは丹の海(朝焼けに浮かぶ赤霧)を眺めたらしい
地方創生担当部長の仲山徳音(なかやま なるね)です。
10月からフェイスブックやWebで広報されていた古民家「離れ にのうみ」
ついに先々週から開業し、宿泊予約が切れ目なく続いているとのこと。
亀岡の新たな観光基地として、どんなふうに進化していくのか、大変楽しみな拠点です。
(予約や施設の概要は、一休.comや楽天トラベルでも確認できます。)
面白いなぁと思うポイントが満載です。その魅力の一端を、ご紹介します。
(1)移住したらどう?と呼びかけてくる「にのうみ」
何と言っても、家の魅力が全開に出ています。「母屋と離れ」からなる造り。
それが渡り廊下でつながり、間におかれた中庭の表情が、朝・夜で見事です。
「伝統的な趣きと、便利な現代生活を融合させる」というコンセプトのもと、水回りや空調設備は、完備しています。
一方で、選定された書や掛け軸などの調度品が、雰囲気を高めてくれています。
宿泊施設としては1棟貸切タイプで、3棟あります。
それぞれの名前は、リョーイ、バイガン、オウキョ。
亀岡にゆかりのある3人の異才であった
・石田梅岩(門弟400名をもち、商業の本質を突いた思想家。亀岡生まれ)
・円山応挙(国宝「雪松図」を生み出した日本美術の大家。亀岡生まれ)
にちなんでつけられています。
名付け親であるアレックス・カー氏(後述)によると、亀岡の歴史とつながりつつ、外国の方でも発音のしやすいように、とのことです。
(2)心に火をつける、「にのうみ」育成に関わる大人たち
にのうみは、行政の「地方創生施策」として再生された古民家です。
ただ、これまでの再生プロジェクトや今後の運営には、多くの魅力的な方々が関わっています。
☆アレックス・カー氏(Mr. Alex Kerr)http://alex-kerr.com/
『美しき日本の残像』といった著作をもつ東洋文化研究の第一人者。今回のプロジェクトの指揮・監修をされた「離れ にのうみ」の親です。
カー氏は、日本全国の古民家再生で活躍され、20代のころから亀岡市に住んでおられるとのこと。
明珠在掌=宝は自分たちの手元にあるという思いで、これまでの再生プロジェクトをリードしてきたのだ、と講演の中でお聞きしました。
書道など芸術分野にも造詣があり、「にのうみ」にしつらえられた美術品群は、氏の作品です。
(再掲。廊下一面を覆うほど大きく書かれ、迫力があります)
☆三浦製材 http://www.miura-mutenka.jp/
亀岡に拠点をもち、京都府内産材の製材・販売を主業とする住宅に関する総合会社。
古民家にのうみを再生するにあたり、材木を寄付してくださっています。
にのうみオープンを記念した10月講演「地域資源としての古民家の魅力」の目録式では、
「輸入木材も良いもの・安いものは沢山あるが、国内木材も良いものは沢山あり、亀岡にお越しになった方にぜひ味わってもらいたい」
そうした思いで今回の再生プロジェクトに貢献したのだ、との三浦社長のコメントが印象的でした。
☆篪庵(ちいおり)アライアンス http://chiiori.org/
にのうみの経営は、ノウハウをもつ民間企業に委託しています。
井澤社長は、これまでもカー氏が手がけた古民家の経営パートナー。
「篪庵(ちいおり)」 とググると、ものすごくフォトジェニックなWebサイトが出てきます。
しっかりとした運営ノウハウをもつ法人が「にのうみ」の運営に入ってくれるというのは、非常に重要だと思います。
行政だけでは及ばないノウハウやネットワークが、世の中には沢山あるからです。
・収益を生む施設の経営、
・お金を払ってでも使う価値がある魅力のPR
きちんとできる方々と一緒にやるのが大事だと思います。
☆料理人「西田浩二」氏 http://www.miyabi2015.com/nishida/index.html
にのうみでは、京都亀岡の「粋を凝らした料理」も楽しむことができます。
地域の料理屋・仕出し屋・カフェをされている方々とコラボをしていきますが、その中でも、
本当においしい京懐石を探求してこられた料理人「西田浩二」氏と提携していきます。
どのような道を歩んでこられた方か、HPを見ると、その一端がわかるかと思います。
西田氏が構えるお店「雅」に伺った際には、
「地元のものを使えば無条件に喜んでもらえる、という安易な考えではなく、本当に美味しいものを楽しんでもらいたい。新しいチャレンジだと思っています」
というお話を伺いました。
予約をすれば、「にのうみ」の空間を楽しみながら、丹精を込めて作られた料理を堪能することができます。
(3)「にのうみ」を通じて、故きを温めて新しきを知る城下町
こうした建物や、そこに関わる人々だけでなく、「離れ にのうみ」がたたずむ空間も大きな魅力です。
そこは、亀岡にある旧城下町の一角。
時代の変化とともに、昔の風情が少しずつ薄れてきているとされる城下町ですが、なお、節目節目で、歴史を感じさせてくれます。
その一つが、10月の亀岡祭。
由緒ある家では、先祖伝来の宝物をならべ、土地の豊かさを実感させてくれます。
夜には灯篭が飾られ、きらめく山鉾が、家々から突如として現れる様子は圧巻です。
こうした伝統(むかし)と現在(いま)が交錯する城下町に、「離れ にのうみ」はあります。
(4)まちづくりの今昔がつながる「にのうみ」
私より一年先に「地方創生支援人材」として派遣された先輩に誘われて、京都府久御山町のまちづくりシンポジウムに参加した10月。
そこでは、いくつかの事例が紹介されていました。
例えば、北九州市の「サトヤマヴィレッジ」という事例では、かつて里山であった3,000坪あまりの土地を、住宅地へと変えていきました。
2008年から5年間、ゆっくり時間をかけて、コミュニティを形成。
その際のコンセプトは、「道路を敷地内に作らない。むしろ、みんなが共有する空間は里山にし、自然豊かな場所にする」という斬新なもの。
そのため、万人受けはせず、希望者は限られる(マーケットは小さい)。
しかし、納得した人が入ってくるので定着率が高い。
今では、およそ50戸の戸建住宅がならぶエリアとなったそうです。
(2008年グッドデザイン賞を受賞 http://www.g-mark.org/award/describe/34266)
講演のなかでポイントとされたのは、
・大量生産の時代がおわり、他のものと違う「なにか」が求められる中で、コンセプトを打ち出した都市開発だったこと
・民間企業だけでなく、大学や市役所なども入り、それぞれの役割分担を積極的に考えたことで「地域に対して、広がりのある計画」になったこと
とされていました。
京都スタジアムのできる亀岡駅前北口だけでなく、城下町の広がる南口も、コンセプトのある「まちづくり」が求められます。
数々の魅力や人の思いが込められた「離れ にのうみ」は、その基点の一つになると思います。
現在、まちづくり会社の「基地計画」が、周辺の観光マップや体験ツアーの整備を進めているとのこと。
☆基地計画は、
・Hと書いて「えいち」と読む「H商店街」の魅力発掘や、
・亀岡にある四季の風景や人々の交わりがいいなぁと思う映画「かめじん」制作、
などなど活性化プロジェクトにたずさわってきたセンスと見識にあふれる会社ですので、どんなものができあがるのか、非常に楽しみです。
(私は、亀岡にきて1週間後の7月22日に、この映画を観る機会があり、自然の綺麗なところだなぁ…と感動した思い出があります)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。進化を楽しみに!45歩目。
亀岡市役所 地方創生担当部長
仲山徳音(なかやま なるね)
E-mail: nakayama88@city.kameoka.lg.jp
Phone: (0771) 25-5006
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