16歩目:【地域経済編②】〇〇部長、夏の夜は まだ宵ながら あけぬるを(〇〇に入るものは?)
雲のいづこに 月宿るらむ(36番歌)らしい
地方創生担当部長の仲山徳音(なかやま なるね)です。前回から、RESASを用いた地域経済分析をはじめました。
「RESASを初めて使う者でも地域経済分析を進めていける」ことが本シリーズの目標です。
早速やっていきましょう。
①RESASのトップページ上段にあるメニューから、
「地域経済循環マップ」→「地域経済循環図」と進み、
(出典:内閣官房まち・ひと・しごと地方創生事務局RESAS。以下同左)
このような画面があらわれます。
初回の宿題として、
・イチバン重要な指標が何か
・他の指標とどのような関係にあるか
読み取れたでしょうか?
(1)イチバン重要な指標が何か?
どれも意味のある数字ですが、単純化のためにあえて断定すれば、
左下にある「生産」(つまりビジネス)によって生み出され、真ん中の「所得」(つまり儲けたカネ)へ分配された2,144億円
が最も重要だと考えます。
というのもこれが「亀岡市全体のかせぐ力、儲けを生み出すパワー」を表しているからです。パワーがなければ、そもそも何も生まれません。
(2−1)所得との関係
右上にある、所得からの支出は、3,038億円になっています。これは、
①「亀岡市内の生産活動、ビジネス」から儲けたカネである所得2,144億円に加え、
②「市外で稼いできた」亀岡市民(外ではたらいてきたカメジン)や企業の所得が894億円ある
という状況を意味します。
(2−2)支出との関係
上で見たように、地域全体のカメジンや企業の手元には所得として3,038億円あります。
これを消費や投資に使うわけですが、
一部は京都市など亀岡市外で使うため、2,144億円のみがモノやサービスに対して亀岡で支払ったカネとなります(右下、支出による生産への還流)。
がんばって働いてもらったおかねを、また別のだれかにありがとうと言ってわたす おかねは天下の回りものなんだよなぁ ぶちょう
改めて図をみるとどうでしょうか?
カネは天下の回りものだなぁと実感できると思います。
①亀岡で生産されたモノやサービスの「付加価値の対価」として支払われ・・・
②働いたカメジンの「ふところに入って所得」となり・・・
③生活や仕事の中で「消費や投資」として支払われ・・・
④それを受けてモノやサービスが作られる・・・
という循環をくりかえす。こうした状況がRESASにより数値化されています。
よく言われるのが
・地域の経済循環、いわば「おカネのめぐり」を良くする必要がある
・そのためには、おカネが「流出」と同時に「流入」し、地域のなかでグルグル回るよう太い流れをつくる
という地方創生の発想です。
おカネが動くほど、消費が生まれ、生産が生まれ、所得になって帰ってくる、というとイメージしやすいでしょうか。
まぐろとおなじで、ずっとうごいていないと弱ってしまう、それが経済なんだよなぁ ぶちょう
おカネの域外への「流出」が「流入」より多すぎると、このグルグル回る太い流れをつくれず、経済活動の規模が小さくなります。
流出の例として、
①生産→分配:亀岡市外(例えば京都市)に本拠地をもつヒトや企業がはたらいている場合、亀岡市で「彼らが稼いだカネ」は、彼らの本拠地に流れる
②分配→支出:カメジンが、オンラインショップや郊外店舗、大都市の店舗でモノを買ったり、サービスにお金を払う場合、亀岡内でニギられていた所得が外に流出
③支出→生産:カメジンや企業が、上記②のように亀岡で消費や投資をしない結果、亀岡でモノづくりや飲食サービスなどが生じない。「生産」に回るカネが少なくなる
こうした状況がつづくと、地域経済が衰退することは想像にかたくないと思います。
次回に向けた、しゅくだい
では、「流出」は常に悪いのでしょうか?
上の例えでは、イメージしやすいよう京都市との関係を取り上げていますが、
・ヨソ者が来て稼ぐのが悪い
・地域対地域のカネの奪い合いである
という解釈は、近視眼的で、まちの衰退をまねく悪論だと思います。
なぜでしょうか?
週末も一つずつじっくり進めていくので、ぜひ答えを考えてみてください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。台風20号を切り抜けて16歩目。
亀岡市役所 地方創生担当部長
仲山徳音(なかやま なるね)
E-mail: nakayama88@city.kameoka.lg.jp
Phone: (0771) 25-5006