17歩目:【地域経済編③】〇〇部長、ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば(〇〇に入るものは?)
ただありあけの 月ぞ残れる(81番歌)らしい
地方創生担当部長の仲山徳音(なかやま なるね)です。今週から、RESASを用いた地域経済の考察をはじめています。なお、カルタも時間を見つけて練習しています。
「RESASを初めて使う者でも地域経済分析を進めていける」ことが分析シリーズの目標です。
前回の復習としゅくだいからはじめていきましょう。
①RESASのトップページ上段にあるメニューから、
「地域経済循環マップ」→「地域経済循環図」と進み、
②図から「カネは天下の回りもの」であることが読み取れます。
こうした循環を細らせる原因として、過度な「おカネの流出」を例示しました。
では、「流出」は常に悪いのでしょうか?
(そのような意見の典型例)
・ヨソ者が来て稼ぐのが悪い
・地域対地域のカネの奪い合いである
「完全な鎖国」をイメージすると答えが出るのではないかと思います。
・すべて自分たちの住む場所・しごとだけで完結させようとし、
・ヨソ者を排除し、
・ヒトを可能な限り亀岡に押しとどめ、外との交わりを断つ
こうした「鎖国」は経済的に無理が大きく、産業の発展をストップさせます。
なんでも自分でやろうとすると、何もできない結果を生みます。
当たり前のことではありますが、地方創生の方向性としては、
①得意な産業を伸ばして稼ぎつつ、不得意な産業はムリせず、ほかの地域との取引で補う
②他の地域から来てくれるヒトも歓迎し、生産活動をさらに進める
③着目すべきは、「カネのめぐり」であり、流出以上の「稼ぎと流入」を生めば良い
とされています。
こうした産業の得意/不得意や、稼ぎと流入を生むために必要なポイントを明らかにするために、RESASを用いた「地域の健康診断」が必要となります。
カネの切れ目が縁の切れ目、とならないよう
最初に見た地域経済循環図の左上に、「地域経済循環率 70.5%」とあります。
これはどのような指標か、ご存知でしょうか?
実は、まさに「カネのめぐり」を診断する指標です。
他の指標との関係でいうと、
生産から所得への分配 2,144億円 ÷ 所得からの支出 3,038億円 =地域経済循環率70.5%
という形で算出されています。つまり、
・亀岡における生産活動(ビジネス)は、亀岡に住むカメジンや企業がもつおカネの7割を支えている
・他方、亀岡に住むカメジンや企業がもつおカネの3割は外で稼いだもの
では皆さんは、この7割という数字が大きいか小さいか、どのように感じるでしょうか?
・・・
その答えを出す一つのやり方として、京都府の他地域と比べてみます!!
京都府自治体の地域経済指標と昼夜間人口比率(RESASより作成)
まず京都府全体の地域経済循環率97.8%と比べると、高くないことがわかります。
また、順位をとってみれば、12位です。
他方、低い地域は他にもあります。赤く色づけした城陽市、向日市、八幡市、木津川市です。
およそ65%〜75%の間で、11位から15位までがひしめき合っていることがわかります。
なぜこれらの市で低くなるのでしょうか?
考えの材料として、右側の「昼夜間人口比率」をみてみましょう。
(RESAS上では、まちづくりマップ→通勤通学人口→「表示する内容」欄で昼夜間人口比率をえらべば、確認できます)
この指標は「どれぐらいベッドタウン化が進んでいるか」を示したものです。
さて。地域経済循環率が低い地域は、「昼夜間人口比率」も低い傾向にある
ということがわかるかと思います。
なお、
①綾部市・宮津市・京丹後市・南丹市は、「昼夜間人口比率」は京丹後市で97%、他3市で100%超といずれも高い(つまり、ベッドタウンではない)。
②しかしながら、「地域経済循環率」(すなわち、域内のビジネスが住民の所得を支えている割合)は京丹後市で78.5%、他3市で90%台前半と比較的低い
という例外パターンを見つけられますが、実はこれらの自治体には、共通した理由があります。長くなるので、この点は別の機会に、まとめて説明します。
次回に向けた、しゅくだい
ふたつの指標、「地域経済循環率」と「昼夜間人口比率」の関係をひきつづき考えます。
なぜ、亀岡市と赤く色付けした4市で両方低くなるのか、答えを考えてみてください!
まじめに取りくんでいる方がモヤモヤしないよう、日曜の明日も連載を続けます!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。休日ゆったりと17歩目。
亀岡市役所 地方創生担当部長
仲山徳音(なかやま なるね)
E-mail: nakayama88@city.kameoka.lg.jp
Phone: (0771) 25-5006