18歩目:【地域経済編④】〇〇部長、風そよぐ ならの小川の 夕ぐれは(〇〇に入るものは?)
みそぎぞ夏の しるしなりける(98番歌)らしい
地方創生担当部長の仲山徳音(なかやま なるね)です。先週木曜から、RESASを用いた地域経済の分析シリーズをつづけています。
「RESASを初めて使う者でも地域経済分析を進めていける」ことが分析シリーズの目標です。
しゅくだいの解答からはじめていきましょう。まず前回、データの取り方をふくめてお示しした図表から。
京都府自治体の地域経済指標と昼夜間人口比率(RESASより作成)
左側の「地域経済循環率」が低い地域(亀岡市と赤く色付けした4市)は、右側の「昼夜間人口比率」も低い傾向にある
ということがわかると思います。これは、なぜでしょうか?
ベッドタウンだからいいとかわるいとか まちはそれぞれの生きかたがあるはずなんだよなぁ ぶちょう
前回、「昼夜間人口比率」は「どれぐらいベッドタウン化が進んでいるか」の指標だと説明しました。
この比率は、昼間人口を夜間人口で割ることで算出されます。たとえば2015年亀岡市の場合、
昼間人口 76,543人÷ 夜間人口 89,479人= 昼夜間人口比率 85.5%
です。まさに、京都駅からJRでアクセス20分の好立地を活かし、「ベッドタウン」となっていると考えられます。
とすると、
①亀岡市民(カメジン)の1割以上が亀岡市外にいる日中は、モノやサービス消費が大きくなりにくい
(例)職場の近くでご飯を食べる
②週末であっても、地元であえて高いモノを買う人は多くない
(例)PCや携帯を買うときは、週末に京都市に行けばよい
③娯楽の消費地も大都市になりがち
(例)映画や買物、友達と遊ぶときは、京都市や大阪に集合
というように考えられます。こうした消費行動により、亀岡での「おカネのめぐり」である地域経済循環率が低くなります。
もちろんおカネを使う経済主体は、カメジンだけでなく企業もふくまれます。
そのため、昼夜間人口比率のみで、全てを説明できません。
ただし、ベッドタウン化が進んでいる亀岡市と赤く色付けした4市(城陽市、向日市、八幡市、木津川市)は、
・企業ではなくヒトが稼いだカネである「雇用者所得」の割合が高く、
・「ヒトの消費行動」が大きな要因となっていると考えられます。
さらに、前回も話した以下の点、
「昼夜間人口比率」が高くベッドタウン化がそこまで進んでいない綾部市・宮津市・京丹後市・南丹市でも、「地域経済循環率」が比較的低い
という例外パターンについて、別の機会に理由をまとめて説明します!
いずれにしても、 昼夜間人口比率は「まちづくりを考える最初の視点」として有効です。
定住人口とインバウンド観光客の増加がキーワード
こうした状況のもと、どうすれば「おカネのめぐり」を良くすることができるでしょうか?
多くのカメジンが日中にいないということから、シンプルに考えれば、
①まずは農業などの第1次産業・モノづくりの第2次産業を伸ばし、「おカネを生み出す地域のパワー」を高める
②飲食などの第3次産業を伸ばすには、年々増加している関西インバウンド観光客を取りこみ、「日中の滞在人口」を飛躍的にふやす
③定住人口の増加は、地域全体の所得増となり基礎消費につながるため、「トカイナカ」「ベッドタウン」としてのポテンシャルを最大限活かし、定住人口をとりこむ
こうした方向性を提言できます。
次回に向けた、よこく
さて。これまで見てきた指標は、「地域全体」の指標でした。
人がいればいるほど、お金を生み出すパワーは地域全体で当然大きくなります。
また、地域全体の所得も大きくなります。
が、「一人当たり」の指標でみると、また別の視点から分析できます。
例えば、地域全体では他市町村とおなじ程度であっても、
「従業者一人当たり所得」が非常に高い場合、
優れた産業がおカネを生み出し、分配している豊かな地域
というように言えます。
これまで使ってきた地域経済循環図の生産・分配・支出の各表には、「詳細を見る」機能があります。
クリックすると、こうした「一人当たりの指標」を見ることができます。
次回、各自治体の詳細を見比べてみましょう! !
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。ドンドン突き進む18歩目。
亀岡市役所 地方創生担当部長
仲山徳音(なかやま なるね)
E-mail: nakayama88@city.kameoka.lg.jp
Phone: (0771) 25-5006