26歩目:【地域経済編⑨】〇〇部長、名にし負はば 逢坂山の さねかづら(〇〇に入るものは?)
人にしられで 来るよしもがな by三条右大臣 らしい
地方創生担当部長の仲山徳音(なかやま なるね)です。ちはやぶりつつRESASを用いて地域経済を分析するシリーズ、ラスト2作に突入しました。
「RESASを初めて使う者でも地域経済分析を進めていける」ことが、地域経済編シリーズの目標です。
今回は、これまで積み残してきた部分について、解説できればと思います。
リマインド:17歩目で見た例外パターン
第17歩目で以下の図表を見ました。
京都府15市の地域経済循環率、付加価値額および昼夜間人口比率(RESASより作成)
表のポイントとして、
地域経済循環率が低い地域は、「昼夜間人口比率」も低い傾向にある
(亀岡市ほか赤く色付けした市)
と結論づけました。一方、
①綾部市・宮津市・京丹後市・南丹市は、「昼夜間人口比率」は京丹後市で97%、他3市で100%超といずれも高い(つまり、ベッドタウンではない)。
②しかしながら、「地域経済循環率」(すなわち、地域内のビジネスが住民の所得を支えている割合)は京丹後市で78.5%、他3市で90%台前半と比較的低い
つまり「昼夜間人口比率は高いのに、地域経済循環率が低い」という例外パターンを見つけられます。
亀岡市は昼夜間人口比率が低いので、直接関係ありませんが、まちづくりのヒントになるので、この例外パターンについて、詳しく見ていきます。
答えは所得にありそうな気がする・・・
以前の観光編でも説明しましたが、
①イチバン重要な指標が何か
②他の指標との関係はどうなっているか
③4字以上の漢字が連続している場合(例えば「地域経済循環率」)は、中身をカンタンに考える
常に意識するといいと思います。
それに従って考えると、
①「地域経済循環率」は、地域内のビジネスが住民の所得を支えている割合を示しており、お金の流れを把握する上でイチバン重要です。
② 算出方法として、付加価値額 ÷ 所得 = 地域経済循環率 となっているので、
深堀りするため、「付加価値額と所得」をそれぞれ見てみよう、と至ります。
とくに、所得が大きいほど地域経済循環率が低くなるので、何らかの原因で「所得」が大きくなっていないかをチェックします。
RESASを使えば、あなたも地域経済分析ができる
RESAS「地域経済循環マップ」→「地域経済循環図」と進み、
3つのグラフのうち、真ん中にある支出の「詳細を見る」をクリックすると、こんな図が出てきます。
二つの棒グラフに着目します。
さて。右の緑の欄にある「市町村」部分で、京都市から順に各市町村をクリックしていくと、どのように棒グラフが変わるでしょうか。
特に、ポイントは、綾部市・宮津市・京丹後市・南丹市と他市との違いです。
・・・
綾部市を例にとって、見てみましょう。上の京都市と比べて、①共通点と②違いが見えるでしょうか?
①雇用者所得の流出入は、地域外からの流入を示す「棒グラフの赤い部分」が見られず、流出傾向(→京都市・福知山市・舞鶴市=ベッドタウンではない市と同じ傾向)
②一方、その他所得の流出入は、「棒グラフの赤い部分」が比較的大きく、流入傾向(→亀岡市・城陽市・向日市・八幡市・木津川市=ベッドタウンの市と同じ傾向)
ということがわかるかと思います。
さらに、15市のデータを並べてみると、一目瞭然です。
昼夜間人口比率は高いものの、「その他所得」の流入が大きいため、地域経済循環率が低く出る(地域のビジネスが支えている所得に対して、外から入るおカネの割合が大きい)
と考えられます。
次回に向けた、よこく
入門編のラストとして、綾部市・宮津市・京丹後市・南丹市は、なぜ「その他所得の流入が大きい」のか、そもそも「その他所得」ってなに?
これを次回解説します!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。スタジアムを横目で見ながら26歩目。
亀岡市役所 地方創生担当部長
仲山徳音(なかやま なるね)
E-mail: nakayama88@city.kameoka.lg.jp
Phone: (0771) 25-5006