盛りだくさんの内容で寝つけない、らしい
(今日は1日の感想から始めます)
ひょんなことから、立命館宇治高等学校「環境政策探究 城陽市まちおこしプラン」発表会に招待して頂きました(10月3日)。城陽市にはサンガの練習場(サンガタウン)があり、亀岡市ではサンガスタジアムが建設中です。
高校生による9つの発表の中で、城陽市も亀岡市と似たような悩みを抱えつつ、それぞれに強みがあり、伸びしろが高いことがよく分かりました。車で40分もかからず通える両市ですので、サッカーを通じて関係が濃くなるとよいなぁと。
その足で、京都府精華町にある「けいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)」に向かいました。10月3日〜4日にかけて「京都スマートシティエキスポ2019」が行われています。
いくつかの企業は、非常に面白い商品やサービスを扱っており、まちづくりに活かせそうなアイデアが多くありました。また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)について亀岡市職員向けの講演をしてくださった兵庫県加古川市の方もブース出展されており、改めて勉強になりました。
という盛りだくさんの1日の中、2ヶ月ぶりにブログを更新します。これまでRESAS上のデータを使い、亀岡市の地域経済についてお話ししてきました。
今日は、分析を踏まえた議論のポイントや、解決策の概論を共有します。
連載目次【亀岡市における地域経済の分析(入門編から本格編へ)】
1.所得から分配への流れ ←61話
2.分配から支出への流れ ←62話はココから
3.支出から生産への流れ
4.亀岡市における地域経済循環率70.8%の意味 ←62話はココまで
5.これまで1年間の取組みと今後の方向性 ←63話はココから。数話にまたがります…
その名も「漏れバケツ理論」
(62話までの復習)
他市と比べると、亀岡市は地域経済循環率が低く、70.8%です。その直接的な要因としてざっくり言えば、亀岡市の企業も家計(個人)も、亀岡市以外の場所でお金を使ったり、亀岡市以外で作られたモノやサービスを購入するためです。
下の図で見ると、
支出面において、①民間消費、②民間投資、③地域内産業の移輸出入収支額(その他支出)において、お金が流出しているためです。
※何を言っているかよく分からない方は、61〜62話をさっと読み返していただければ。
こうした地域経済の状態を、「漏れバケツ」と例えることがあります。
穴の空いたバケツにどんなに水を注いでも、穴から漏れてしまい、水で一杯になることはありません。
どれだけお金を注いでも、公共投資をしても、穴の空いたバケツから水が漏れるが如く、地域からお金が流出してしまい、経済的に豊かになりにくいと考えられています。
亀岡市は、地域経済循環率が低く、バケツから水が漏れやすい(地域からお金が流出している)と言えます。
なお、数字を用いた例として、この論文が簡潔で分かりやすいと思います。
新津尚子『漏れバケツ理論|興廃の鍵である地域内経済循環と、CSRの可能性』(2019.3.19)
「漏れバケツ」と闘うためのキーワード
ではどうしたら良いでしょうか?というのが今回の記事です。
キーワードは2つかなと思っています。
1つは「マーケットを作ること」。もう1つは「地産地消+外商を進めること」です。
(1)まず前者「マーケットを作ること」について。
マーケットとは、物を売る場・買う場です。地域経済の循環(生産→所得→支出→生産→…というお金の流れ)を高めるには、地域のものに対してお金が使われる場を増やす必要があります。
しかし、人口減少が進むと、地域のものを売る場・買う場が少なくなります。
以前ご紹介した通り、企業は、人口が多いところに出店するのが基本であり、人口が減少するところからは撤退します。
大都市以外をあえて活動拠点とする企業もありますが、全体の傾向としては人口規模に従います。ものを常時買ってくれる人口が減ることで、地域の企業(例:商店)が減り、企業(仕事の場ともなる)が減ることで人口を集める「地域の力」が減り、さらに企業が減ってしまう
このような人口の減少と企業の減少は、負の連鎖(負のスパイラル)にあるとされています。(関連する政府資料が掲載されたものは下記記事)
このような状況下で、365日モノを売る企業・店舗を増やすのは、なかなか大変です。
(365日売れないから撤退してしまうわけで)
そこで、365日は無理でも、定期的に地域のモノを売れる・買える場所を創り出すこと(場づくり)が重要になります。
それが「マーケット」です。
また、単にモノの売り買いだけでなく、
①出店者と来場者の間で交流が生まれたり、
②思いがけず地域の魅力を発見する場になったり、
③出店者の方にとっては、自分の活動やお店の宣伝になったり、
④そのエリアがどれだけファンを集められるかをはかる場になったり、
⑤(カタいことはさておき)ふつうに楽しい
という効果もあります。
もし、理論的にもっと知りたい!という方がいれば、下記の二つの本がオススメです。
①木下斉『地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門』(2018.11)
②鈴木美央『マーケットでまちを変える〜人が集まる公共空間のつくり方〜』(2018.6)
実のところ、亀岡市の中でそのような動きが、ぞくぞくと生まれてきています。
以下は私が参加したときの様子の一例です。
『踊る!アートマン屋台』(7月14日。フランス革命日になったのは良い偶然)
(スーパーとまとすくい)
(バー鬚髭のオープンテラス)
(空きテナントを活用した野菜直売)
(お店を持たない若手事業者による染色Tシャツ)
(地元飲食店の出店とミニライブ)
『KIRI マルシェ』(Vol.1 3月2〜3日、Vo1.2 9月28〜29日)
(音楽家ー演奏前の準備中)
(つきよみさんのお菓子)
(おすすめコーヒー)
(布糸植物という作品)
(子どももできるワークショップ)
(大人も楽しいホンモノの体験)
(かわいい小物)
(かわいい漬物)
(木の作品)
(陶器)
(ティラノサウルスが生まれたあと、のような植木鉢)
(開店準備中の会場の様子などなど)
必ずしも同じ方々がやっているわけでなく、それぞれがゆるーく連携しています。
さらに、11月3日(日)にも、はじめてのマーケットが開かれます↓
---「農」にまつわる様々な生業〜農家、料理人、猟師、手作りお菓子屋、麹屋、工芸作家、養蜂家〜がブース出店に加えて、ワークショップやお話会なども企画---
市内各所でイベント盛りだくさんの1日ですが、せっかくなので、何とか時間を見つけていきたいところ。
30年後に亀岡史を振り返ると、「第一次マルシェブーム」と称される黄金時代の幕開けになるかもしれないと密かに期待を込めています。
さて、
さすがに眠くなってきました。
次回は、二つ目のキーワードに絡めて話を続けます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今年も残り3ヶ月、時間が経つのがとても早い63歩目。
亀岡市役所 地方創生担当部長あらため副市長
仲山徳音(なかやま なるね)
E-mail: nakayama88@city.kameoka.lg.jp
Phone: (0771) 22-3131(大代表)
★テレビ東京「ガイアの夜明け」から環境政策の取組みが取材されています。その中で出てくるかもしれない話題のふるさと納税 もお試しください。★