13歩目:【観光編⑦】〇〇部長、データをふまえ Z 旗をあげる(〇〇に入るものは?)
新たな夏季特別授業が始まる、かもしれないらしい
地方創生担当部長の仲山徳音(なかやま なるね)です。連載してきた「観光データを用いた政策分析」も本日が最終回です。
これまで前6回で「亀岡観光に関する課題」と「京都府全体で俯瞰すると見えるもの」をデータに基づき分析してきました。
以上をふまえ、今まさに進んでいる取組みと方向性をご紹介したいと思います。
亀岡市を超えたネットワーク化
これまで分析した結果、亀岡市の抱える3つの観光課題:
①宿泊客の増加をこれからも収容できるか(施設の問題)
②インバウンド観光客をもっと取り込めるか(インバウンド観光客向けマーケティング、アウトリーチ)
③観光客一人当たり平均消費額を向上できるか(コンテンツの収益性)
は、京都市をのぞく府全域で共通することが分かります。
(①については、ホテル・旅館の稼働率に応じて程度差がありますが、京都府の宿泊施設の客室稼働率は2016年平均で67.3%、全国6位。なお、1位は大阪府の83.3%、2位は東京の78.8%。内閣府RESAS「観光マップ」国内―宿泊施設分析より)
どうすればいいでしょうか?
···解決の方向性として、ケタはずれに強い京都市の外にある観光資源の魅力を、まとまってアピールする「もうひとつの京都」プロジェクトが始まっています。
亀岡市は、
①観光消費額
②観光客数
③一人当たり平均消費額
④外国人宿泊数
いずれの指標でも、「森の京都」に所属する5市町(福知山市、綾部市、京丹波町、南丹市、亀岡市)を牽引する地域となっています。
また、昨年3月に「宇治亀岡舞鶴観光連携協定」が結ばれ、「お茶の京都」宇治市、「海の京都」舞鶴市とのネットワーク強化をすすめています。
他地域との、さらなる交通アクセス強化も必要だと思います。
こうしたネットワーク化のなかで、
・日帰りや宿泊インバウンドをいかに取りこむか
・またその受け皿となる収益性のある観光コンテンツは何か
といった課題に、亀岡市としてもチャレンジし続ける必要があります。
観光政策に求められるインパクト
現状として、日帰り客一人あたりの平均消費額は、1,600円前後(第7・8歩目参照)。
仮に3万人の日帰り観光客を獲得したとして・・・4,800万円の観光消費増にしか至りません。
地域全体が生み出している観光消費総額74億円(2016年)を考えると、十分とは言えません。
そのため、宿泊施設がすぐには増えない状況下で、日帰りの観光客増加をねらう観光政策としては、どれほどのインパクトが必要か?
数万人どころではなく、10万人単位での増加をめざす必要があります。それゆえにインバウンドの取りこみがカギとなります。
そのような大規模のインバウンド観光客増加の受け皿となる観光コンテンツは、
・平均消費額1,600円を引き上げる高付加価値のもの
・飲食や物販など、お金を生むモノ・サービス消費とコンビになったもの
どちらかでなければ、観光消費増は望めません。
10万人や20万人といった規模でそうしたコンテンツにインバウンド観光客を引っ張ってくること
これが亀岡市の地方創生のキーワードの1つになると思っています。
非常にやりがいのある仕事を、産業観光部の職員の方々・コンテンツを担う民間の方々とやっていけると思います。
歴史を変える大河ドラマ館
例えば、2020年に大河ドラマ「麒麟がくる」が放映されます。主人公は、歴史上最大の下克上を実現した武将、明智光秀。
人気のある革命的な武将、織田信長を討ったことでマイナスのイメージもあり、
出生や青年期など謎につつまれた部分も多く、多面的なストーリーをもつ人物です。
その明智光秀が築城し、本能寺に向かったときに発った丹波国亀山城の城址が、亀岡に残されています。
また、明智光秀ゆかりの地として、毎年5月に亀岡光秀まつりも開催されています。
2020年に向けて機運をたかめていく中、亀岡市では「光秀 大河ドラマ館」の実施に向けて検討を始めています。
これまで若者やインバウンド観光客がほとんど訪れていない大河ドラマ館ですが、
・まちづくりの一環・手段として活用し、
・一過性にならない新たな観光コンテンツを生み出せるのではないか
と、みんなで策を考えています。
ぜひ楽しみにしていてください!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。日陰からはみ出て13歩目。
亀岡市役所 地方創生担当部長
仲山徳音(なかやま なるね)
E-mail: nakayama88@city.kameoka.lg.jp
Phone: (0771) 25-5006