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55歩目:【観光編―季節性②】〇〇部長、春分の候、いかがお過ごしでしょうか。(〇〇に入るものは?)

二月は逃げる、三月は去るらしい

地方創生担当部長の仲山徳音(なかやま なるね)です。

 

更新が止まってしまい、大変失礼しました。二月は逃げる、三月は去る、とはよく言ったものだなぁと。

 

私が所属していた財務省では、事務年度の切り替えが7月でした。

 

一方、市役所では4月が事務年度の切り替えになります。

 

年度末までにできる限り進めておこうという心算が生じ、慌ただしい2ヶ月間でした。

 

この間、何人かの方からは、「ブログを楽しみにしています、頑張って」とのお声もいただきました。

 

8ヶ月にわたり執筆を続けてきた手応えを感じるところです。

 

なお、「地方創生 ブログ」とGoogle検索すると、トップに表示されるようになりました。

皆様のおかげです、ありがとうございます。

 

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亀岡市の地方創生のプロジェクト発信を目的として、今後も精進していきます。

 

(せっかくなので、今後はリンク先のHP内容をもう少し充実させたいと思っています。)

 

さて、前回記事の続きとして、京都観光分析シリーズの後半を進めていきます。

 

本シリーズは季節性がテーマ。以下、目次です。

(1)前回のおさらい

(2)季節性を克服するための3つの方法  

 

(1)1ヶ月前の記事を覚えているアナタは、もう立派な読者です。

季節性、または季節変動と言った方が正確かもしれません。季節間で事業の売上げに増減が生じることは喜ばしくないとされます。

 

前回は、「観光客数」を指標として、ビジュアルで把握しました。

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(出典:「平成29年(2017)京都府観光入込客調査報告書」表7より作成

 

・灰色の部分(京都市の月別観光客数)は比較的なだらかな一方、

 

・オレンジ色の部分(京都市以外の月別観光客数)はギザギザしています。

 

つまり、

京都市は、毎月同数のお客さんが来るので、年間を通じて安定的な収入が見込め、観光インフラにもムダや不足が生じにくい一方、

 

②「もうひとつの京都」にくくられる京都市以外の地域は、季節ごとに繁忙の波があるため、観光ビジネスの需給、観光インフラにムダや不足が生じやすい

 

こうした課題が、亀岡市を含む「もうひとつの京都」に存在しているということです。

 

亀岡市を見ると、

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(出典:平成29年(2017)京都府観光入込客調査報告書」表7及び「平成29年版亀岡市統計書」16 観光より作成)

 

やはり「季節による変動」が非常に大きいことが分かります(赤色の棒グラフ)。

 

そして、とくに冬の観光客数が少ない要因として、亀岡三大観光のひとつ、トロッコ列車が1・2月に運行停止し、集客がゼロになるためとわかります(緑色の棒グラフ)。

 

観光と関わる飲食業などにも、こうした余波はモロに響いてきます。

 

夏のかきいれ時は忙しく、冬は閑古鳥が鳴く、ということになりがちです。

 

ではどうしたら良いのか?「季節による変動」をいかに解消するか、を考えていきます。ここからが本題です。

 

(2−1)他の地域とタッグを組む

方向性は、シンプルに考えて、次の3つだと思います。

 

①他の地域と組む

②売り先を多様化する(インバウンド観光客をこそ取り込む)←頑張る

③冬のイベントや見所を増やす←頑張る

 

まず①に関しては、「他の観光地と組んで、お互いの観光客を共有する」という方法が考えられます。

 

旅行業者やマーケティング会社にヒアリングしますと、観光客の周遊コースには一定のパターン、つまり「皆が乗っかるお決まりコース」があります。

 

他エリアと組んで、こうした周遊コースを作ることができれば、観光客の増加が狙えます。

 

ややカタイ言葉では、「広域連携」という考え方です。

 

こうしたことから、亀岡市舞鶴市宇治市観光協会3者は、2017年3月に観光連携協定を結んでいます(宇治舞鶴亀岡観光連携協定)。

 

下記の表でみるとお分かりのように、いずれの地域も冬の客足が落ち込むため、連合することにメリットがあります。

 

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(出典:「平成29年(2017)京都府観光入込客調査報告書」表7より作成)

 

(2−2)外国人観光客を取り込む

また、日本人と休暇のタイミングが異なる、外国人観光客の取り込みをはかるのも一つの戦略です。

 

例えば、中国では2月(春節)や10月(国慶節)に大型連休に突入します。

 

このような観点で「外国人宿泊者数」のデータをみてみると、

 

・外国人宿泊客の取りこみは、京都市を除く自治体で全体として進んでいないが、そのなかで宮津市は他市に比べリードしている

 

ということが言えます(文字が小さく恐縮ですが、下記表)

 

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さらに、宮津市亀岡市を訪れる外国人観光客層を調べると、宮津市は台湾層、亀岡市は香港層の取りこみに強く、連携は相互にメリットだと思います。

 

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こうした観点から、昨年10月に宮津市と合同で観光プロジェクトを実施しました。

(下記記事参照)


(2−3)冬のイベントや見所を増やす

例えば、全国を見渡すと、「冬季に開催される芸術祭」や「冬季限定のイベント・ツアー」というものがあります。

 

こうしたものが必ずしも、季節変動の緩和(冬季観光客数の増加)を目的としたものとは限りません

 

しかし結果としては、観光面でも一定の効果が見込めます

 

先ほどの広域連携にも関連しますが、亀岡市に隣接する南丹市美山町は、この点で非常に面白いエリアだと思います。

 

美山は「かやぶきの里」で知られ、重要文化財の茅葺古民家が立ち並ぶ地域。

 

昨年11月、秋のシーズンに副市長及び森の京都DMOの方に同行して、現地にいきました。

 

サイクルイベントに関する情報ヒアリングと視察をかねたもの。

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背景にある緑深い山々に集落が溶け込み、魅入ってしまう美しさを誇ります。

 

美山を舞台にした夏のサイクルイベント(限定1000人強)は、販売開始から10数分で完売するほどの人気だそうです。

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この美山は、冬になると雪深くなります。通常であれば客足も遠のくところ、

 

「美山かやぶきの里 雪灯籠」という1週間ほどのライトアップを行い、多くの方が訪れています(今年は2019年1月26日から2月2日まで)。

 

仕事の終わりに、職場の後輩と一緒に見学にいくことができました。

 

灯篭に誘われて集落に入ると、古民家の静かな美しさがライトアップされています。

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終盤に入ると、丹波地方特有の濃霧(丹波霧)が発生し、幻想さが増していきます。

 

野郎だけで行ってしまったことを、同行してくれた後輩は後悔していたはず。
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美山は、亀岡から車で安全運転で1時間程度ですので、タッグを組む相手としては非常に魅力的です。

 

すでに多くの旅行誌や、湯の花温泉を起点としたツアーでも組み込まれておりますが、関東からの観光客にとってはまだまだ知られていない存在です。

  

「広域連携」をお題目にせず、実際の誘客効果をみながら、さらに実践していくことが重要ではないかと思っています。

 

特に冬季の観光客数の落ち込みは亀岡近隣地域で共通であるため、2020大河ドラマ放映を来年に控え、ぜひ連携を強化したいところです。

 

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以上が季節性を克服するための3つの方法です。

 

言葉にするとカンタンですが、

 

特に広域連携は、交通アクセスや観光客の嗜好・ルートのテーマ性みたいな観点も必要です。

 

また、インバウンド観光客の取り込みも簡単ではありません。

 

この点は、この3月末に、とある観光プロジェクトを実施するので、また追ってご報告できればと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。Don't stop me now の55歩目。

 

亀岡市役所 地方創生担当部長 

仲山徳音(なかやま なるね)

E-mail: nakayama88@city.kameoka.lg.jp

Phone: (0771) 25-5006