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62歩目:【RESAS本格編への橋渡し②】〇〇部長あらため副市長、東京へ出張する(〇〇に入るものは?)

前置きはいらないモード、らしい 

連載目次岡市における地域経済の分析(入門編から本格編へ) 

1.所得から分配への流れ

2.分配から支出への流れ←今日はココから  

3.支出から生産への流れ

4.亀岡市における地域経済循環率70.8%の意味 ←ココまで

5.これまで1年間の取組みと今後の方向性 

 

(前回の続き) 亀岡市全体でみた所得の受け取りである「分配(3030億円)」に比べて、亀岡市内でお金を使う「支出」は2146億円と低くなっている、と説明しました。

※話がおえない方は、前回61歩目の記事をご覧ください。

 

RESAS:地域経済循環マップ>地域経済循環図(亀岡市、2013年)

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「分配(3030億円)」に比べて「支出」が2146億円と低くなっているのは、亀岡市内から亀岡市外へ、お金が流出しているためです。 

 

上記図中の「支出」欄の「詳細を見る」をクリックすると、次の図が出てきます。

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「地域外への流出」として示されている数字は、 

①民間消費では46億円 

②民間投資では119億円 

③地域内産業の移輸出入収支額などである「その他支出」では719億円 

となっています。

 

前回はここまででした。本記事の本題はココからです。

 

Qお金の流出(地域外への流出)とは具体的にどのようなことか? 

①民間消費は、A.日用品の買い物など「日常生活での消費」B.観光時の飲食・宿泊・お土産の購入などの「非日常的な消費」からなります。 

 

亀岡市は、2013年の観光客数で見ると京都府内で京都市宇治市宮津市につぐ4番目の227万人であり、観光消費額も京都市宮津市京丹後市につぐ4番目の55億円でした。

平成25年京都府統計書 第10章運輸・情報通信・観光「10-13.市町村別観光入込客数及び観光消費額」より)

 

つまり、外からの観光客が55億円ものお金を使ってくれている地域ですが(主にB)、

それ以上に亀岡市民の買い物が京都市などで行われている結果(主にA)、

差し引きではお金が流出していることになります。

 

「民間消費における46億円の流出」はそのような結果を示しています。 

 

②民間投資は、企業が工場やオフィスを立てたり、機械設備を導入するなど設備投資のことです。 

 

亀岡市の企業が、稼いだ所得を、亀岡市外で投資に使う」ことで、お金が亀岡市から流出します。

 

その投資額が「亀岡市外の企業が、亀岡市内で設備投資に使う金額」(=亀岡市流入する金額)よりも大きいため、差し引きではお金が流出していることになります。

 

「民間投資における119億円の流出」はそのような結果を示しています。

 

なお、「オレは銀行へ貯金しているから支出していない!」という方もいますが、銀行は預金を元手に貸出しなどを行い、そのお金が企業などの事業資金となるため、いずれにせよお金は支出に回ることになります。 

 

③「その他支出」の主な中身である地域内産業の移輸出入収支額は、 

・地域の企業が地域外の企業や住民へ商品を売る(域外へのBtoB、BtoCの販売)、 

・地域外の企業から商品を買う(域外からの仕入れ)、 

これにより生じた地域全体のお金の出入りの差し引きを示します。 

 

ざっくりしたイメージでは、亀岡市を一つの国として考えます 

すると、亀岡市の企業が、その外にいる企業・住民とビジネスするのは「貿易」みたいなものです。 

 

その「他地域との貿易」によってやりとりされた代金の収支が、地域内産業の移輸出入収支です。 

 

亀岡市の場合は、 「地域外の企業・住民への販売」よりも「地域外の企業から仕入れ」の方が大きい結果、地域内産業の移輸出入額の収支でみると、お金が流出していることになります。

 

「その他支出」における719億円の流出はそのような結果を示しています。

 

みんながお金をどこでどう使うが重要

(3)支出から生産への流れ 

①〜③をまとめて計算すると、純計884億円が地域外に流出し、亀岡市内の生産活動に回らないことになります。 

 

亀岡市の住民・企業ベースでみると、受け取った所得(分配)は3030億円ですが、そこから884億円が地域外に流出し、残り2146億円が地域内で支出され、対応する地域内生産が生じます。 

 

つまり、亀岡市という地域ベースで見ると、支出=生産2146億円となり、亀岡市の住民・企業全体が受け取った所得(分配)3030億円に比べて、経済活動が小さくなっています。 

 

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ここまでで話が難しいと感じる方は、

亀岡市の外と内、どこで稼がれた所得なのか

・いずれにせよ亀岡市の住民・企業の所得となったお金が、亀岡市の外と内、どこで使われるか

 

という観点で、話を読み返してみてください。

そこでは、亀岡市の外にお金が出てしまうことを「流出」、亀岡市の内にお金が入ってくることを「流入」と捉えています。

 

(4)亀岡市における地域経済循環率70.8%の意味 

冒頭で説明した地域経済循環率70.8%=生産2146億円÷分配3030億円は、亀岡市住民・企業の所得が、亀岡市内での支出・生産に7割しか回されていない状態」を示します。 

 

京都府内各市の地域経済循環率は様々ですが、その数字から地域経済の様子をうかがい知ることができます。

 

地域経済循環率が高い・低い背景には、経済構造のパターンがあるためです 

※興味がある方は、RESASを用いた分析に関する参考書をご覧ください(前回の記事にも掲げています)。

 

●京都府自治体の地域経済指標と昼夜間人口比率(RESASにて2018年7月に作成。そのため、数字は2019年現在に比べ若干のズレが生じている)
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他市と比べると、亀岡市は地域経済循環率が低いと言えますその直接的な要因としては、これまで見た通り、民間消費、②民間投資、③地域内産業の移輸出入収支額(その他支出)において、お金が流出しているためです。 

 

地域の中でお金が使われ(域内での支出、消費や投資の流入)、

それによって生産が盛んになり、

稼いだお金が所得として分配され、

可処分所得が増加することで支出が増え、新たな生産につながる。 

 

という生産→分配→支出→生産→・・・というお金が地域内でグルグル回る循環が経済活動を活発にし、結果的に地域全体の所得を向上させると考えられます。 

 

亀岡市の地域経済循環率が低いというのは、こうした好循環が生まれていない状況を示すため、対策が必要になります。 

  

ではどうしたら良いでしょうか?次回はここからスタートします。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。東京でも京都でも夏は暑いです!62歩目。



亀岡市役所 地方創生担当部長あらため副市長 

仲山徳音(なかやま なるね)

E-mail: nakayama88@city.kameoka.lg.jp

Phone: (0771) 22-3131(大代表)

 

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