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61歩目:【RESAS入門から本格編への橋渡し】〇〇部長、亀岡市の副市長に育つ(〇〇に入るものは?)

人口8万8千人による壮大なドッキリ、ではないらしい 

みなさま、長らくご無沙汰しておりました。地方創生担当部長あらため副市長の仲山徳音(なかやま なるね)です。 

 

あらため、と書きましたが、先月に人事上の大きな転機を迎えております。 

 

いまだご挨拶できておらず失礼をしている方もいらっしゃるところですが、6月24日に亀岡市議会においてご同意いただき、7月1日より亀岡市の副市長に就任いたしました。 

 

(組織体制としては、2016年4月1日付けで着任されている石野副市長が上席副市長となり、私は次席副市長です) 

 

財務省から亀岡市にきて、先週で2年目を迎えました。「副市長に就任してどうですか?」「何か変わるんですか」「ドッキリではないですよね」など様々な質問への答えを、行動で示す2年目にしたいと思っています。 

 

(7/21 千歳町KIRICAFEにて)

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前年7月着任時から1年間で取り組んだことを振り返りつつ、分析や学び、現時点で考えていることを加えて、シリーズ連載として共有します。
 

 

まず始めに地域経済について 

 

連載目次岡市における地域経済の分析(入門から本格編へ) 

1.所得から分配への流れ←今日はココから 

2.分配から支出への流れ←ココの途中まで 

3.支出から生産への流れ 

4.亀岡市における地域経済循環率70.8%の意味 

5.これまで1年間の取組みと今後の方向性 

経済はもともとは経世済民の意味

「地域住民の生活を豊かにすること」が地域の経済政策の目的です。生活・地域・行政サービス維持するために、経済活動を活発にする必要があります。 

 

ややムズカしく言いますと、 

地域における経済政策の最終的な成果指標(アウトカム)・目標としては、「地域住民の所得の向上」だとされます。 

 

豊かさにも色々ありますが、経済政策の場合、「地域の生活の豊かさ」を「地域住民の所得水準」ではかり、所得の向上を目標とするということです。 

 

地域に住んでいるのは「雇用者」以外に個人事業主の方もいますが、

会社で働き、給与を得ている雇用者の方が多いと考えられますので、

雇用者所得を見ることで、「地域住民の所得水準」を類推することができます。 

 

この点、亀岡市住民ベースで見た雇用者所得は全国的には中位(413万円、全国1719市町村中850番目、2013年)。

また、市内の就業者ベースで見た雇用者所得はさらに低い結果となっています374万円)。 

 

RESAS:地域経済循環マップ>地域経済循環図>分配(所得)(亀岡市、2013年)

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同:地域経済循環マップ>分配分析>雇用者所得(一人当たり)(亀岡市、2013年)

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では、どのようにしたら「地域にとって意味のある経済政策」が作れるでしょうか。 

 

まず、RESASを通じた地域経済の分析が必要になります。

 

過去のシリーズ連載で「RESASって何だろうか?」や「どう使うか?」の入門部分は説明しました(サイドバーのカテゴリー「地域経済編」を参照)

 

本連載で復習しつつ、数字の意味を考えていくようにします。 

(データ更新のため、過去の記事とは数値が若干ずれていることがあります 

 

なお、亀岡市の地域経済を理解する上で、これらの本もオススメです。 

・坂本信雄「京都・亀岡やさしい経済白書」(2019年) 

日本政策投資銀行・株式会社価値総合研究所「地域経済循環分析の手法と実践」(2019年) 

 

亀岡市経済における「血液(おかね)」のめぐり

RESASを使って、亀岡市経済の特徴について見てみると、何よりもまず地域経済循環率が70.8%と低いということが言えます。 

 

RESAS:地域経済循環マップ>地域経済循環図(亀岡市、2013年)

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(解説)

地域経済循環率は、「地域の経済活動におけるカネのめぐり」を示す指標です。 

 

①地域内で生み出された所得(生産)を、②地域の住民・企業が受け取った所得(分配)で割ることで算出されます(地域経済循環率=①生産÷②分配)。 

 

・・・といってもイメージが湧かないと思いますので、

 

70.8%という数字がどのように出てくるのか、亀岡市の経済データやよく出てくる質問と併せて考えてみましょう。 

 

なお、今回の記事中の金額はすべてRESAS上の「付加価値額」で表示しています。

 

例えば、40円で仕入れた在庫を100円で売ると、もうけは60円。所得の源泉になるのは販売額の100円でなく60円(付加価値額)なので、以下では付加価値額に注目します

 

(1)生産から分配への流れ 

生み出された所得(生産)は、亀岡市全体で2146億円。つまり、亀岡市全体でみると年間2146億円が経済活動によって生み出されたことになります。  

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一方、亀岡市民が受け取った所得(分配)が3030億円。つまり、亀岡市民や亀岡市内の企業全体の財布をのぞいてみると、年間で3030億円あることになります。 

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Q1.2146億円(生産)と3030億円(分配)の差はどこからきているか? 

京都市などに通勤している方は「外で稼いだ所得」を亀岡市に持ってくる

補助金・国庫支出金などの形で、京都府や国から亀岡市にお金が流入する 

 

①は「雇用者所得」として、580億円も流入しています(分配(所得)中に「地域外からの流入」と記された雇用者所得欄の赤い棒グラフ)。

 

これは、亀岡市に通勤してくる人が8034人である一方、20775人亀岡市外に通勤していること、すなわり市外への通勤者が多い結果です。

 

亀岡市に通勤してくる8034人=昼間人口76543人ーうち亀岡市の居住者68509人

亀岡市外に通勤する20775人=夜間人口89479人ーうち亀岡市内の日中滞在者68704人

 

RESAS:まちづくりマップ>通勤通学人口(亀岡市、2015年)

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住んでいる方は実感があると思いますが、とくに京都市への通勤者が多く、亀岡市京都市ベッドタウンだと上記のデータでも読み取れます。 

 

②上記で見る雇用者所得のほか、「その他の所得」の流入が304億円あります。

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「その他の所得」の流入304億円のうち補助金・国庫支出金を通じたお金の移動は154億円あります。 それらは「政府間財政移転」と呼ばれます。

 

どうやったら154億円あると調べられるかは下記の記事にまとめています。

 

Q2.他の自治体と比べて、国や府からの財政移転154億円は大きいか? 

財政移転の金額は、自治体の財政規模や進めている事業によるので、「金額自体の大小」よりも、「財政規模や所得に対する割合」で比べることが適切です。 

 

他の自治体と比べると、亀岡市は地域の所得全体に対する政府間財政移転の「割合」がやや大きいと言えます。 

 

★2013年度における京都府15市の所得に対する財政移転の割合(決算カード及びRESASより作成)
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国全体においてインフラの整備・改修に対応する事業ニーズや高齢化に伴う福祉ニーズが高まる中で、

人口減少(とくに生産年齢人口の減少)による住民税の減少が見込まれる亀岡市にとって財政の自立性を保つことは重要なポイントだと思います。 

 

政府間財政移転地方交付税補助金)に依存することのないよう、地域全体の所得を維持・向上させていく必要があります。 

 

(2)分配から支出への流れ 

さて、話をお金の流れに戻します。

所得を生み出す「生産」2146億円に比べ、所得を受け取る「分配」が3030億円と大きいことはわかりました。

 

問題は、市民や企業が受け取った所得をどのように使うか(支出)です。 

 

地域の中でお金が支出されると、対応する生産が生じるので、支出と生産は常にイコールで、支出=生産=2146億円となっています。 

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つまり、地域全体でみた所得の受け取りである「分配(3030億円)」に比べて、地域内でお金を使う「支出」は2146億円と低くなっています。 

 

これは、亀岡市内から亀岡市外へ、お金が流出しているためです。 

 

流出している規模を見てみると、 

①民間消費は46億円 

②民間投資は119億円 

③地域内産業の移輸出入収支額などである「その他支出」は719億円 

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Qお金の流出とは具体的にどのようなことか? 

次回はここから解説を再開します!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。これからも続けます61歩目。



亀岡市役所 地方創生担当部長あらため副市長 

仲山徳音(なかやま なるね)

E-mail: nakayama88@city.kameoka.lg.jp

Phone: (0771) 22-3131(大代表)

 

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